毎年発表されるブルーベリーの新品種、どうすべき?




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自称「ブルーベリー栽培マイスター」
PC・カメラ・バイクなどメカ的グッズが大好き。
日本酒とワインをこよなく愛する。
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せらす

こんにちは、せらすです。

毎年魅力的な新品種が発売されていますね。
せらす果樹園では全体の2~3%の本数を新品種として導入し、試験栽培しています。

今回は新品種を導入した方がいいの?そのメリットは?
という部分について書いていこうと思います。

毎年、植え付け作業があるなんて・・・と思わずに。

 

栽培スタイルで変わってくる

趣味栽培であれば

趣味で楽しむブルーベリー栽培であれば、ご自分の都合が許す範囲でその樹の寿命まで栽培して頂きたいと思います。
と、言いますか自由ですよね。趣味なんですから。
私が知っている限り、ブルーベリー栽培を趣味としている方の多くは庭のスペースが許す限り多くの品種を栽培しておられます。

栽培している品種の数は専門の農家さんより多いぐらいです。そういった方達の知識や技術も非常に高い水準にあると思っています。
生活がかかっていない、趣味だからこそできる1品種1本の多品種植え・新品種のつまみ食い。
そういった栽培スタイルだからこそ得られる多くの経験があるはずです。

しかし、逆に1品種1本ずつだからこそ、品種を評価するには少し苦しい環境でもあります。
私に限らず、専門の農家さんは試験導入からはじまり、数年かけて評価した上で1品種で数本~数十本を植えています。

せらす果樹園でも試験導入は最低3本(できれば4~5本)、少なくとも2年以上(できれば収穫の翌年まで)は観察しています。
実際の栽培現場では、生育や収穫に必ずブレ幅があります。
1本だけでの評価で本格導入することは非常にリスキーとも言えます。

たまに聞かれるのですが、プロの農家さんって趣味で栽培している人の品種評価はアテにしているの?という話があります。
Webでよく見るブルーベリーの品種評価のコンテンツですよね。
ここだけの話ですがアテにしているようでアテにしていない部分があります。

と、言うのは栽培本数もよく分からないし(1本だけなのか・数本の最低値なのか・中央値なのか・最大値なのか)、栽培環境もよく分からない(栽培している気候や土壌etc)
栽培している方の技術レベルや栽培履歴(剪定や施肥、防除etc)もないので、なんとも判断できない?と、正直に言えばそうなります。

ですが、栽培の一例として大いに参考にさせてもらっています。しかし1例だけではやっぱり心もとないのでWebに散らばっている色んな方の栽培事例を連結させる必要があります。

話がそれましたが、利益を求めるのではなく、趣味として栽培・収穫を楽しみたいのであれば、1品種1本の多品種栽培で、どんどん新品種を導入していっても全く問題はないと思っています。是非、そのままのスタイルで栽培を続けていってもらいたいと思います。

趣味栽培で新品種への扱い。

まとめると・・・
趣味栽培では失敗しても趣味の範囲内であれば生活へのダメージは少ない。
簡単に新品種の導入をできるので恐れずにどんどん導入していってほしい!

懸念としては、1品種1本、多くても2~3本の栽培環境では正確な品種情報として活用するのは難しい。
カタログやWebの情報を鵜呑みにせず、客観的な情報提供と情報活用が必要。

と、いうことになります。

 

営利栽培であれば

営利栽培となると簡単に新品種の導入とはいきません。なにしろ生活がかかっています。
毎年新品種が発表され、優良品種も多くなってきました。

とはいえ、新品種導入のリスクは決して小さくはありません。試験導入からはじまり、数年間を得てようやく新品種の導入となります。一連の確認が済むまでに簡単に数年間は過ぎてしまうでしょう。

そういった期間を短縮するために一昔前であれば、いわゆる御三家や各品種系統の標準品種を栽培しておけばよかったのですが、いずれも古い品種群で「栽培のし易さ」や「果実の大きさ」などに目を見張るものはありません。

ブルーベリー御三家
ホームベル・ティフブルー・ウッダード

標準品種
ノーザンハイブッシュ:ブルークロップ
サザンハイブッシュ:オニール
ラビットアイ:ティフブルー

ビッグセブン
コビル・バークレー・ブルークロップ・ハーバート・アーリーブルー・ブルーレイ・コリンズ

などがあります。

新品種の導入にはリスクは付き物です。軌道に乗っているブルーベリー園では特に新品種の導入に消極的になってしまいます。しかし前述したとおり、趣味で栽培しておられる方の栽培技術や知識は非常に高いものがあります。

あなたのブルーベリー園は時代遅れのブルーベリー園になっていないでしょうか?

私もたまに来園された方とお話することがありますが、ブルーベリーが趣味の方と話すと
・どんな品種を植えているのか?
・新品種はどうなのか?
・一番大きい実はどのくらいのサイズがあるのか?

そういった事を聞かれます。もちろん、全ての事に答える必要はないのですが、全てが曖昧で答えられずプロの農家としてやっていることに誇りを持てない事は辛い事でもあります。

そして、これだけ特許品種が増えて、栽培技術もあがってきているのに、ブルーベリーの単価はもう何年も横ばいの状態です。
例えばスイカやメロン、ブドウだって苗の状態からホームセンターなどに売っています。誰でも栽培できる環境です。
しかし果物屋に行けばそれが数千円で取引されています。この差は何なのでしょう?もちろん、知名度やブランドの差もありますが・・・。

はっきり言って「趣味で栽培しておられる方と、プロの農家が作った果実に差が無い」のが原因ではないかと思っています。

趣味栽培での一発取りでたまたま大きく美味しく収穫できたブルーベリーと、常に安定した果実を収穫できる事を目指した栽培スタンスで比較するのは無理があるかもしれません。しかし、栽培技術と同様にやはり品種の差は大きいです。

今後のブルーベリー業界の隆盛を期待するためにも、自身の栽培技術を向上させる為にも営利栽培においても積極的に新品種の導入はしていくべきだと考えています。

営利栽培で新品種への扱い。

まとめると・・・
安定を目指した営利栽培においてもプロであるなら常に最前線。プライドを持って新品種の導入に取り組むべき。
守りに入ればいつまで経っても単価はあげれないしブランドイメージも上がらない。

と、いうことになります。

 

優良品種は多くても最適な品種は少ない

さて、どのような栽培スタンスであっても新品種は積極的に導入すべき、と書きました。
ではどのような判断で新品種を選んだらいいのでしょうか?

毎年発表される新品種ですが、カタログには同じような事しか書いてありません。
偉そうな事を言いましたが、正直な話、詳しい事はあなたの栽培している土地にその品種を植えてみないと分からないのです。

とはいえ、カタログから引用できるヒントもあります。
例えば、開花時期や収穫時期ですね。せらす果樹園のブルーベリーはほとんど大関ナーセリーさんで購入しています。

大関ナーセリーさんのHPには開花時期や収穫時期の記載があります。
この表だけではあまり役に立たないのですが、この表とご自分の栽培しているブルーベリーのデータを比較することで、ある程度は狙った品種に絞る事ができます。

例えば収穫時期で言えば、オニールとブリジッタを栽培していて、その期間中に別に収穫できる品種が欲しければ表の真ん中にある品種を選べば大きくはずれる事はありません。データは絶対値だけではなく、相対的に見ることも大事だと思います。

そのためには従来からある品種の育成も大事になってきます。
従来からある品種はWebだけでなく書籍にもデータが多く、定量的な比較がしやすいのです。ですのでご自分の農園がどのような栽培環境なのか?を判断するにはとても有効な栽培対象となります。

新品種を闇雲に導入して生き残った品種を栽培する。それも間違いではないのですが、できれば無駄は避けたいですよね?
そのためにはやはりデータは必要です。

新品種の導入の理由は、大きな実や収量だけではありません。今後のリスクヘッジを検討して導入される方も多いと思います。新品種は開発元での厳しい選抜から生き残った優良品種ばかりではありますが、さすがに全ての栽培環境で万能というわけにはいきません。

あなたの栽培している土地での最適な品種はご自分で探すしかないのです。

まとめると・・・

効率よく新品種を導入するにはデータは不可欠。データ取りは栽培実績が多い従来品種が最適!

去年植えた2年生苗。生育データがなければリスクヘッジしようにもどの苗を選んでいいのか分かりません。

 

あなたなりの基準値を作るために

新品種の導入はすべき。そのためには従来品種のデータ取りが有効と書きました。
ではどのようなデータとどのような判断基準が必要なのかを書いていきます。

結論から言いますが、必要なデータと作成する基準値。これはあなたの栽培スタンスによります。

ただ闇雲に実が大きければいいのか。収量がたくさんあればいいのか。栽培しやすく丈夫なのがいいのか。
新品種を導入しようとするとき、そこには明確な意図があるはずです。

あなたが新品種を検討するときに一番気にすることはなんですか?
それが必要なデータとなります。そして判断するための基準値を作成しなくてはいけません。

とても簡単な事を言っているようですが、ブルーベリー栽培を失敗している方のほとんどはこれができていないように思えます。毎日の観察、週一の観察。できるだけの事でも構いません。少しずつデータの収集に取り組んでみてください。
こういった地道なデータの積み重ねが新品種を栽培するときに多いに役立ちます。

せらす果樹園では毎日の気温(最高・最低・平均・積算温度)、天候、そして定点観測を行っています。
そして、剪定・除草・防除・施肥はルールを作って毎年同様に行っています。

私が新品種に求めるのは果実品質(サイズや収量)や栽培しやすさですが、こういったその品種の実力値を比較するにはこれらの要素を全て取り除いてやらないと比較できません。

簡単な考え方ですが・・・

品種の実力+(栽培地域の風土の影響+管理栽培)=栽培地域での結果

という事になります。
カッコ内を取り除いてやれば品種の実力が見えてくるというわけですね。

余談ですが私は他にもパラメータがあると思っています。
こんな感じでしょうか。

品種の実力+影響値(栽培地域の風土の影響+管理栽培)=栽培地域での結果

ちなみに影響値というのは私が勝手に考えている指標です。環境の変化に敏感な品種はこの値が上がりますし、緩慢な品種は下がります。
ラビットアイや「栽培しやすく丈夫」と言われている品種はこの値が低く、ハイブッシュなどの栽培が難しい品種はこの値が高いと考えています。

 

まとめ

長くなってしまいましたが「新品種の導入はどうするべきか?」。
私個人としてはブルーベリー栽培を続けていくのなら、どのような栽培スタンスであっても積極的に続けていくべきだと思います。

新品種を導入するには、データ取りや様々な考察が必要ですからブルーベリー栽培のみならず様々な知識や経験、技術をあなたの生き方に付与するはずです。
そしてそこから得たものは趣味栽培にしても営利栽培にしても大きな自信につながります。

何よりもブルーベリーは食品ですし「よりよい物を求め、提供していく姿勢。」
それこそが食を提供していく人の使命ではないかと考えています。

それでは今日はこの辺で。

バイバイ!

 

※2018年3月6日に加筆・リライト




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