【初心者向け】ブルーベリーを枯らさないために気をつけてほしいこと




こんにちは、せらすです!

もうすぐ春ですね。冬に店頭に売りに出されていたブルーベリー苗を購入して、収穫シーズンを心待ちにしておられる方も多いんじゃないでしょうか。ですが、どんなに愛情を持って栽培していたとしても、ブルーベリーも生き物ですから調子を崩してしまう事もあります。

今日はそういった樹の見分け方や、不調に陥った時に確認してほしい事を書いていこうと思います。

元気かどうかの判断

ブルーベリーが元気か否かの判断はとても簡単です。

  • 開花と同時に新梢が発生しているか(品種によって若干タイミングが異なります)
  • 春と夏にシュート・新梢が発生しているか(1次成長・2次成長)
  • 盛夏から秋にかけて花芽分化が進んでいるか

この3点で判断できると思います正直、クロロシスや葉焼けなどの判断は複合する要因も多く、あまりアテになりません)
簡単に言えば適切な時期にブルーベリーの生育サイクルがちゃんと起きているかどうか?という事ですね。

ブルーベリーに限らず、「植物の生育のカギを握っているのは根」なので、根に異常があると多くの場合は生育サイクルがストップしてしまいます。新梢やシュートの発生などがストップした場合は下記の項目を疑ってみてください。

 

不調の時に確認してほしいこと

土作り

せらす果樹園では鉢植えブルーベリーの用土は基本「ピートモス7:鹿沼土3」としています。
土作りは問題ないでしょうか?

また、鉢植えの場合は毎年冬に(休眠期)に根の状態を見てあげてください。根が底まで回っていたら植え替え時です。その場合は2号アップの鉢で植え直してください。

根が生育できない環境ではブルーベリーは成長しません。植え替えの適切な時期は休眠期(冬:12~2月)です。その時期に根鉢を確認して、植え替えの判断をしてください。

春~夏に植え替えると「すぐ枯れてしまう」というわけではありませんが生育がストップするなどのリスクを伴います。初心者の方はリスクを減らすためにも休眠期での植え替えをおすすめします。

ホームセンターに行くと「ブルーベリー」専用用土などが置いてありますが、個人的にはおすすめできません。
何が混ざっているか分からないからです。

混入されているものがブルーベリーに無害なものなら良いのですが、意図していない肥料成分が入っていると、栄養状態をコントロールができなくなります(調子が悪い苗の肥料を減らしたい等)

しかも何がどれくらい入っているかは多くの場合は記載されていませんし、メーカーの都合や仕様変更で配合成分が変更されてしまうこともあります。基本的には用土は自分で作るもの、と考えてください。

先日、ご質問頂きました内容に「肥料を与えたら調子が悪くなった」というものがありました。
よくよく聞いてみると「ホムセンのプライベートブランドのブルーベリー用土」を使っていたらしいのですが、その用土には肥料成分が配合されていたようです(袋にはその事は記載されていないようでした)。それに加えて春に肥料を与えてしまって窒素過多の症状が出ていました。
質問者様はメーカーに問い合わせた所、「肥料成分は入っていない」と返答が来たようですが、質問者様が用土を詳しく調査したところ、「謎の白い物体」が混入されていました。
写真を添えて再度メーカーに質問したところ、それは「化学肥料です」という不誠実な返答が来たみたいです。
こういう事がありますのでブルーベリー専用用土を使用される場合はよくよく注意して使ってください。

日照

ブルーベリーの育成には最低でも4時間以上の日照が欲しいところです。日照時間が少ないと生育は悪くなりますし葉色も悪くなります。間延びして、徒長枝が多く発生したり、軟弱な枝が出やすくなります。また、花芽分化や紅葉も正常に行われなくなるようです。

一部のハイブッシュなどで、夏の暑さに弱いと言われている品種がありますが、ハイブッシュと言えど地上部は強靭なので、寒冷裟などを使って全体を遮光する必要はありません。この場合はポット内部の温度上昇に注意してください(詳細は後述)

水遣り

水遣り回数が妥当か確認してください。せらす果樹園でポット栽培していた時は春は1回・夏は2回ほど水遣りしていました。

少なすぎると乾燥しますし、多すぎると過湿の原因になります。最適な水遣りの量は「栽培地域の気候」や「鉢のサイズ」などで様々な要因で変わってきます。

表面は少々乾燥してもいいのですが、地中は湿り気を感じる程度の湿度に維持するように心がけてください。
簡単な判断方法としては「鉢を持ち上げて重さを確認する」というものがあります。

水分をしっかり吸った鉢は同容量のバケツに水を一杯に張ったぐらいの重さになるはずです。逆に水分がないと拍子抜けするほど軽かったりします。

短期的には上記の方法でいいのですが、あなたの栽培方針(長期的な水分量)の是非を判断するには、ブルーベリーの状態や用土の状態で確認する必要があります。例えば、

  • 乾燥で新梢や葉が萎えている(朝夕に復活する)→水遣りが少なすぎ。
  • 過湿で用土が汚泥化している(根が底まで達していない)→水遣りが多すぎ。

水遣りの頻度をうまく調整できない場合は鉢の色や形状を変えてみたり、用土の表面にバークを敷き詰める事で保湿することが出来ます。栽培環境に合わせてうまく調整してみてください。

害虫

ポット栽培の一番の敵はコガネムシだと思います。鉢内の用土に産卵し、幼虫がブルーベリーの根を食害します。ポット栽培の場合は根に逃げ場がありませんし、地上部に不調のサインが発生したときは既にかなり食害されており、手遅れの場合が多いです。地上部がグラグラしてたら復活は絶望的です。

予防するには

  • 成虫の飛来を防止する→フェロモントラップやネットで囲む
  • 産卵を防止する→マルチを敷きつめたり、農薬を使う

といった対策があります。

ちなみにせらす果樹園の露地植えブルーベリーはあまりコガネムシの被害にあわないようです。詳細は未検証ですが、モグラがコガネムシの幼虫を捕食するようですね。ポット栽培と違い、根域が広く・根の逃げ場があること・天敵が存在することなどでコガネムシの被害に合いにくいようです。

あと、こちらも未検証の情報ですが、剪定した枝を用土にすきこむとコガネムシの被害が減るようです(根より腐食した枝を好んで食べる説)現在せらす果樹園では、ポット栽培はほとんどしていませんので検証はしていませんが、被害に悩まされている方は試してみてください。

鉢の色が黒かったり、直接日の当たるところに設置していませんか?

以前にも書きましたが、夏場の鉢内はすごい温度になっています。まさに蒸し風呂状態。こんな環境では根が健全に生育する事はできません。勘違いしないで頂きたいのは、どんな品種でも「地上部は高温にかなり強い」という事(耐暑性に問題があって育たない品種も接木すれば栽培できますよね)

ハイブッシュ品種などで「耐暑性に難アリ」と見て寒冷裟で丸ごと覆う方がいますが、日光を遮るような事はしないでください。耐暑性に問題ある品種は、あくまでも「地温の上がりすぎに注意する」という事です。

水はけ

鉢の形状や根詰まりによって、水はけが悪化していないか注意してください。毎年植え替えていれば根詰まりは考えにくいですが・・・。根が回っていない部分のピートモスは汚泥化しやすくなります。最初から大きな鉢に植えないのは、こういった理由からです。

また、乾燥にも注意してください。水をやって鉢底から染み出している水は「鉢内の用土に吸収されなかった水」です。「鉢底から水が出たから水分は十分だよね」と、判断しないようにしてください。

鉢内の用土の水分が適切に保たれているかどうかは「鉢の重さ」で考えるようにしてください。持ったときに、「重い・軽い」でどれぐらい水分が含まれているか分かると思います。

不調に陥ったら

不調に陥ったブルーベリーを回復させるのは簡単な事ではありません。ブルーベリーは挿し木で増殖できるぐらい「地上部のほうが強靭」ですので、地上部に変化が起きたときは手遅れの場合が多いのです。

不調時のできるかぎりのケアとしては

  • 上記の項目に当てはまる事は改善する
  • 花・実を全て取り除く
  • 取り除ける肥料は取り除く

という事をしてください。また、できるようなら土壌pHを下げる工夫をしてみてください。具体的にはピートモスの追加や硫黄粉の散布です(不調時の硫安はおすすめしません)

そして、ケアをしたらしばらく様子をみてください。どんな適切な処置をしてもブルーベリーはすぐには回復しません。焦って、アレやコレやいっぺんにしないようにしてください。そして、調子がもどるまで肥料を与えないでください。

よく聞く「植え替え」や「鉢下げ」(鉢のサイズダウン)についてですが、シーズン中の植え替えはダメージが大きいので、コガネムシが発生した時ぐらいしかおススメできません。

結局のところ、不調に陥ったブルーベリーの回復は本当に難しいのです。ですから不調に陥らせないような管理が一番大事な事です。不調に陥った時はこの1年は諦めてください。無理に収穫などをしようとすると致命的な事態になりかねません。

硫安の効果について

pHを低下させるために硫安を使用する方がおられますが、硫安は「生理的酸性肥料」というもので、そのままではpHを低下させる効能はありません。硫安自体は中性の結晶のようなものです。

ではなぜpHを下げる効能があると言われているのか?
硫安が植物に吸収されると肥料成分(アンモニア態チッソ)が消費されます。残った硫酸が土壌を酸性に変えていくというメカニズムです。これが「生理的酸性肥料」と言われる所以です。

植物にアンモニア成分が吸収されるまでは酸性に傾ける効果はないので、「ポット栽培などの他の植物が少ない状況」&「ブルーベリーの根が弱っている状況」ではなかなかpHは下げられません。

硫安はあくまで「肥料」なのでpH低下目的だけに使うのはおすすめしません。

「根洗い」や「強剪定」は荒療法

気をつけて欲しいのは色んなWebで紹介されている「根洗い」「強剪定」などの手法です。確かにこういった処置が必要な時もありますが、生育サイクルや土壌環境を一変させてしまうこのような手法は、ブルーベリーの生育をストップさせ、更にダメージを与え、より深刻な事態を引き起こしかねません。

イチかバチかの手段だと思ってください。

仮に復活したとしても、1年生苗からやりなおしです(枝も根もありませんからね)

「根洗い」や「強剪定」に頼らないといけないぐらい不調に陥ってしまった時は、私ならあっさり苗を買い換えると思います(不調に陥ったブルーベリーを1年かけて1年生苗にするより、買ってきた2年生苗の方がよっぽどか有望です。営利栽培ですから仕方ありません)

ちなみに「根洗い」や「強剪定」をどのような時にするのかと言いますと

  • 根洗い:用土が害虫や過湿の影響で泥状になってしまい、根が酸欠状態に陥った時
  • 強剪定:老木でシュートの発生が少なくなってしまい、新たな枝の発生を促す時

どちらも目的があって行うものです。不調に陥ったからといって原因を探らずに、安易に「根洗い」や「強剪定」をしないようにしてくださいね。

まとめ

今回の記事をまとめると・・・

①まずは不調に陥らない工夫をすること。
土作り・日照・鉢の形状・水源の確保・排水対策などは栽培前からよく検討してください。事前に準備しておけばトラブルに会う機会は少なくできます。

②突発的なアクシデントには正しい処置をする。
害虫や成育不良などで焦って肥料をあげたりしない事。何度も書いていますが、地上部に不調のサインが出たときには手遅れの場合が多いです。復活を期待するなら根に負担をかけないようにするのが一番です。

③不調は生育サイクルを予測して判断する。
根に異常があると多くの場合は生育がストップします。不調の判断はブルーベリーの生育サイクルをきちんと把握しておくことが重要かと思います。観察や記録をしてみたり、同じ品種を数本を植えて比較などをすると、より不調を判断する精度があがると思います。

④根洗いや強剪定は最後の手段。
これらは対処のしようがない時にするものです。このままではどうやっても枯れてしまう、という時にやってみてください。植え替えや鉢下げ(鉢のサイズダウン)も同様です。

最後に

いかがでしたか?
ブルーベリーは不調に陥った時の対処が難しい植物です。ですから「不調を予防・正確な判断・正しい処置」がとても重要です。日々の管理、そして不調の予防を意識して、おいしいブルーベリーの収穫を目指してください。

それでは今日はこの辺で。

バイバイ!

※2018.4.23 書式を変更&追記
※2018.5.19 追記
※2018.5.22 追記
※2018.8.8 追記




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