ブルーベリーの苗は主に秋から春に出回ります。これは「ブルーベリーは休眠期に植え替えましょうね」という話なのですが(他の果樹も同じ)。今回は実際にホームセンターや苗木屋さんで買ってきたブルーベリー苗、それもポット栽培に特化して書いていきたいと思います。
ポットは来年を見越して
前回の記事で買ってきた苗をそのままにしないでくださいと書きました。
ポット栽培の場合はポットの準備もお願いします。
苗の購入時は恐らく、「2年生苗で3~4号前後のポリポット」に入っているはずです。
すでに根は回っているでしょうから少し大き目のポットに植え替えてください。
この時「外周の古い根」をこそぎ落してください。外周は古い根が堅い層になっているので新規の根が伸展しにくい状態です。植え替える時は外周の古い根を除去してください。
目安としては
- 2年生苗の植え替えで6号鉢
- 3年生の植え替えで8号鉢
- 4年生の植え替えで10号鉢
毎年2号ずつ上げていくのがおススメです。
翌年の成長を見越して鉢増ししてください。
ちなみに1号あたりポットの直径が約3cm増えます。
つまり毎年6cmずつ大きくしていくわけです。
じゃあ5年生は12号ポット、6年生は14号ポット? かと言われそうですが、順調に生育しているならば、5年目に12号ポットに植え替えるよりも、ここで思い切って60cm以上のポットに植え替えたいところです。
何故ならば
- 単純に植え替えが大変だから
- ポット栽培の最大のメリット、「移動しやすい事」のメリットが鉢増しすることで薄まる
- 樹高が高くなっているので鉢が重くないと倒伏する
12号以上のポットになると相当重くなるので、移動、植え替え、用土の交換で腰や膝への負担はかなり大きいです。最終的にブルーベリーの生育限界を考えると最低でも、
- 矮小品種やSHブルーベリーなどの(1.5m程度の樹高)品種は60㎝以上のポット
- NHやREブルーベリーなどの(1.8~2.5m程度の樹高)大型品種は75~90cmのポット
が必要になろうかと思います。ですので生育が順調ならば5年目で大型ポットへの植え替えをおススメしています。
また強風時に倒伏しやすくなります。5年生となれば成木に近い(2m程度)まで樹高が高くなるので強風に対する警戒もすべきです。

注意点
買ってきた2年生苗は無条件で6号鉢に植え替えるとします。
3年生・4年生時の植え替え時に根が回っておらずポットの底の土が残るようであれば、鉢増しは控えましょう。そして残った土の状態をよく見てください。
害虫がいないか、汚泥状になっていないか。
害虫に関しては取り除いて鉢増しはせずに土だけ入れ替えて様子を見てください。汚泥状になっている場合も同様です。
根洗いしたいところですが、根洗いは結構ダメージを与えます。根洗いからの復帰は一か八かの賭けになるのでおすすめはしません。
ポットの選定はどうするか
私がブルーベリー栽培を始めたころはスリットポットが流行していました。これは根のルーピングを防止するとともに、水はけが非常に良いという事でした。
※根のルーピングとは
根が鉢底に沿って旋回しながら伸びていくこと。 根が鉢底の穴を塞ぎ、排水不良を引き起こし鉢内の酸欠状態を引きおこす。
しかし絶対にスリットポットじゃないといけない、という事はないです。
何百鉢も育ててきましたがルーピング自体が大きな問題になった事はありません。ブルーベリーは成木になるまで毎年植え替えるので「ルーピングによる根詰まり」は少ない印象です。またスリットポットは13号(40cm)サイズまでしかない(探してみたところ、18号程度のスリットポットが発売されているようです)
そして最終的に90cm程度の大型ポットに植え替えると、鉢増しや用土の交換の必要性が薄まります。これはある程度ブルーベリーが成長すると「新しい細根の発達⇒古い細根が枯れて土に戻る⇒新しい細根の発達⇒・・・」という現象が出るためです。
これは「根のターンオーバー(root turnover)」と呼びます。
つまり無制限にポットのサイズを大きくする必要はないという事です。実際、露地栽培をしていても根の発達には限りがあるように思います。
余談ですが
露地植えでは横方向には広く根を張れますが、うちの圃場は地下30cmくらいからかなり硬い地層になります。もちろん定植前に十分に耕しているのですが、実際に根が使っているのは表層部分が中心だと思います。
一方、90cmポットは高さが約55cmあり、上から下まで一様にほぼ同じ用土です。横方向は狭くても、深さまで含めれば意外と広い根域を使えるのではないかと思っています。
さらに成木になると根も増え続けるわけではなく、古い細根が枯れて新しい根に入れ替わっていきます。こうした根の更新もあって、大型ポットでは根詰まりしにくくなるのかもしれません。
話は変わりますが…
一部界隈でコンテナ栽培をやっておられる方がいます。個人的にも1度試した事はあるのですがあまりおすすめしません。水はけがよすぎて潅水が大変です。
他にも、例えば66cmのポットですと土の容量は大体100Lになります。95㎝ポットだと約240Lになります。収穫コンテナは小型で30L程度、普通サイズでは約45Lで圧倒的に根域が足りません。
「家に収穫コンテナが山ほどある」という方でしたら良いと思いますが、将来的に成木まで栽培するとなると積極的に利用するほどでもないかなと思います。
そして、これまた一部界隈で言われている話ですが「根域制限をすると生育がよくなる」、という話があります。しかし実際には根域制限をするから生育が良くなるのではなく「必要な管理(pH、栄養素根域の確保、細根の発達)を根域制限したポット内で完結させる」という事に意味があります。
ランダムに伸びていく根にランダムに撒いた肥料を吸収させるより1か所にまとめておいた方が管理しやすく生育が良くなるという話ですが、ポット内は既に根域制限されてますのであまり意味はありません。
(詳しく書くと長くなりそうなので、必要以上に根域栽培するメリットはそこまでない、という事を覚えておいてください)

健全なブルーベリーを育てるために
ポットサイズ以外にも考慮すべき点として、
- 過湿
- 害虫
- 鉢内温度
この3つのファクターがとても重要なのです。
過湿対策
私の経験では鉢底に砂利を敷くとか、水抜き穴がスリット形状であるとかそういう事はあまり重要でないように思いました。
ポットを買うときに見るべき事は
- 「水が滞留しない構造」
- 「鉢底に空間があるか」
空の状態のポットに水を流して込んでスムーズに排水できるか。これが一つのポイントです。水が滞留する構造ですと用土が汚泥化しやすくなります。
通気性に関して言えばスリットポットは優秀ですがマストではありません。用土の調節で通気性を確保するのも良いと思います。
具体的には鹿沼土の粒度を大きくする(小粒を中粒にする、あるいは大粒を一定割合で増やす)、それでも過湿気味であれば、用土にパーライトを1~2割混ぜる、用土にバークチップを混ぜるなどの手法があります。
害虫対策
ブルーベリー栽培、しかもポット栽培となると避けて通れないのが害虫対策です。1本、2本なら被害は少ないようですが、受粉の事を考えるとどうしてもブルーベリーは複数本栽培する必要があります。
特に厳しいのがコガネムシの幼虫。知らない間に発生して根を食い散らかします。鉢増しするのは休眠期の冬が多いでしょうが、その時に発見しても手遅れになる事が多いです。
具体的な対策として
- バークチップを敷き詰める
- ネットなどで鉢表面を保護する
- ダイアジノン粒剤などの農薬を使用する
などがあります。私の栽培ではバークチップを敷き詰め、農薬を使用して防除していました。鉢にネットを張るとサッカーやシュートの育成を妨害してしまうような気がします。
鉢内温度対策
あまり重要視されていませんが、幼木の間は黒いポットはおすすめできません。ポットが小さい為、夏場の直射日光が当たる黒いポットの鉢壁はすごい温度になります。鉢が小さいため、逃げ場もなく根へのダメージは計り知れません。
大型ポットになると鉢壁は熱くなっても、中心部は意外と普通の地表温度に収まっているようです。しかし鉢壁は温度が高くなり根域が制限される事は知っておいてください。

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まとめ
ポット栽培はお手軽なようですが健全なブルーベリーを育てるためには意外と気を使います。毎年のサイズ更新や、鉢の選定など。露地植えをおススメしているのはそういった理由からです。
しかし現実的なスペースの問題でブルーベリーをポットでしか栽培できない方も多いと思います。きちんと管理できればブルーベリーはしっかり栽培できます。
皆さまも色々工夫してみてください。それじゃ今日はこの辺で。バイバイ!
今回のキーワード
・ポット栽培は将来性を見越したサイズで管理しよう!
・選ぶポットは排水性と色に注意しよう!
・根域をどれくらい確保できるのかを検討しておこう!























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