収穫が途切れないブルーベリー選び。ぶっちゃけこれだけ植えておけばいいんじゃね?




こんにちは、せらすです。

今日はせらす果樹園で栽培してきた品種の中で「ぶっちゃけこの品種があればシーズン中ずっと収穫できるんじゃね?」という品種をご紹介します(以前、ホムセンで買える品種限定でおすすめ品種を紹介した記事もありましたが、今回は通販もひっくるめての話になります
参考:家庭菜園でのブルーベリー栽培。品種はどれを選ぶべき?

ご質問で頂く質問で多いのがやはり「どの品種を選んでいいのか分からない」といった内容です。
書籍やWebで品種ごとに評価している記事は多いのですが、何らかのコンセプトをもって品種をグループで構成してある内容の記事は非常に少ないのが現状です。

というわけでコンセプトを作ってグループを構成してみました!

栽培している風土や、栽培しておられる方の技術など、様々な要因があって「一概にこれがいい!」というのは非常に言いにくいのですが「せらす果樹園で最低品種数で栽培するならどうなのか?」という事でご紹介させて頂ければと思います。

 

収穫が途切れない品種選定にあたって

せらす果樹園で栽培・出荷実績がある品種の中から収穫期間に応じてシーズン中(6~8月)、途切れることなく収穫できて、初心者でも栽培しやすい品種を選定します。
試験栽培品種は評価がまだ定まっていないのでご紹介できません。

色々な栽培形態があるかと思いますが、せらす果樹園では

  • 広島県沿岸部(瀬戸内気候:温暖で降雨は少ない)
  • 露地植え(元畑で有機物も多い)
  • 畝形状の植栽(高さ20cm前後
  • バークチップは不使用
  • 施肥は年一回

という条件で栽培しています。
全ての栽培地域で「収穫が途切れない」が当てはまるわけではありませんのでご了承ください。
また、実際には収穫のピークというものがありますので、収穫開始日や終了日付近は収量が少ない、もしくは期間が短くなったりします。予めご了承ください。
更に、収穫期間が重なった品種に対しては、果実品質、収量、栽培のしやすさなども加味して選定しています。

選定のルール

せらす果樹園(広島県沿岸部)

  • シーズンの最初から最後まで(6~8月)収穫ができる品種
  • 初心者でも育てやすい品種
  • 収穫期間が重なった場合は、果実品質・収量・味で選定する
  • 入手経路や入手難易度は、他に判断材料がなかった場合に考慮する
  • できるだけ最低栽培本数を目指す 

それでは紹介していきましょう。

ニューハノーバー

2017収穫時期:6/15~6/27

果実品質良く、サザンハイブッシュの中では豊産性。生育も旺盛かつ丈夫で病気にもなりにくく家庭菜園でもおすすめできます。
地域によっては収穫時期が梅雨時期と重なるかもしれません。
裂果耐性はスターよりはありますがサウスムーンよりは裂果しやすいです。
収穫時期にマメコガネが発生するので注意が必要です。

比較対象になった同時期に収穫できる品種

  • サファイア:凍害と剪定の難しさで落選。
  • スター:食感の悪さで落選。
  • ミレニア:裂果が多く、個人的には味が微妙なので落選。
  • サウスムーン:栽培の難しさで落選。

 

チャンドラー

2017収穫時期:6/24~7/7

巨大果ができる事で有名な品種。今年は25~30mm超の果実がたくさん採れました。
味も巨大果だから大味というわけでもなく、普通に美味しいです。
サイズも大きく一粒のボリュームが大きいので満足感も高いです。

ノーザンハイブッシュにしては丈夫で、せらす果樹園でも自根苗で枯れる事なく栽培できています。
生育はゆっくりなので気長に育ててください。
同時期に大量発生するマメコガネが最大の敵。フェロモントラップなどの対策が必要かもしれません。

比較対象になった同時期に収穫できる品種

  • サウスムーン:理由は上に同じ。
  • レガシー:栽培しやすく豊産性だけど、果実が今日一つパッとしないので落選。
  • オザークブルー:栽培が難しいので落選。

 

オースチン

2017収穫時期:7/7~7/20

ラビットアイでは珍しく甘酸バランス良い品種です。食感(種・皮感)は多少気になりますが、個人的に味はブライトウェルよりもオースチンの方が好きです。ブライトウェルなどに比べると裂果耐性もあるようです。

幼木時の生育はゆっくりめですが、成木になると途端に旺盛になりあちらこちらからサッカーを出してきます。
サッカーの処理と剪定は手間ですが、丈夫で育てやすいので家庭菜園にもおすすめです。

比較対象になった同時期に収穫できる品種

  • ベッキーブルー:信頼できる苗屋から購入できないので落選(オースチンは大関ナーセリーさんで購入できます)
  • ブライトウェル:果実品質で落選。ただし農園の基準木としての栽培を推奨。

 

コロンバス

2017収穫時期:7/16~8/13

現在、大関ナーセリーでコロンバスは取り扱っていないため非常に迷いましたが、他に変わる品種がないので紹介します(Webでググるといくつか苗を取り扱っている園芸店があるようです)

樹勢は旺盛で育てやすいです。ラビットアイとしては食感も良く、味も悪くありません。
収穫期間も長く、収量もあります。裂果耐性は並ですが早採りしても渋み果は少ない印象です。

つまり、家庭菜園や初心者にも栽培や収穫がしやすいという事でもあります。
個人的にはブライトウェルの代わりに栽培してほしい品種ですが、取り扱っている苗屋が少ないのが困り者。
結実不良が多いという声をよく聞きますが、せらす果樹園では問題になっていません。

比較対象になった同時期に収穫できる品種

  • ブライトウェル:理由は上と同じ。
  • ブライトブルー:コロンバスやブライトウェルより裂果が多いので落選。

 

オンズロー

2017収穫時期:7/17~8/18

せらす果樹園ではシーズン最後の品種です。
収量は多く(2017のせらす果樹園で一番収量が多かった品種です)味は安定しています。ただ、奇形果が多いのが難点。
出荷目的でなければ問題にならないので家庭菜園ではおすすめしたい品種。

地域によっては9月まで収穫できると思います。
果皮が柔らかく収穫にはコツがいりますが、こちらも家庭菜園では問題にならないでしょう。

害虫がつきやすいのが難点ですが、栽培自体は容易で初心者にもおすすめできる品種です。

比較対象になった同時期に収穫できる品種

  • オクラッカニー:大量のサッカーで剪定が面倒なので落選。
  • ディライト:味はいいけど果実の病気耐性の無さが致命的。
  • パウダーブルー:もう少し果実が大きければ・・・。
  • バルドウィン:同上。

 

開花時期について

上記の品種の開花時期ですが、一番早いのはニューハノーバー、遅いのはコロンバスとなります。

せらす果樹園
2017開花時期実績
開花
はじまり
開花
おわり
ニューハノーバー 4/16 4/27
チャンドラー 4/24 4/30
オースチン 4/28 5/5
オンズロー 4/28 5/11
コロンバス 4/29 5/13

せらす果樹園では問題になっていないのですが、「収穫が途切れない品種」的な最低本数栽培ですと、ニューハノーバーの受粉相手が心もとないので、丈夫で豊産性のレガシーあたりを追加しておくと良いかもしれません。

 

まとめ

せらす果樹園がおすすめする「収穫が途切れない品種」の選抜は以下の5品種となります。

  1. ニューハノーバー
  2. チャンドラー
  3. オースチン
  4. コロンバス
  5. オンズロー

これに基準木としてブライトウェル、受粉木としてレガシーの合計7品種で「これだけ植えておけばいいんじゃね?」の構成となります。

基準木:ブライトウェル
受粉木:レガシー

またコロンバスが手に入らなければブライトウェルに置き換えてもいいですし、ベッキーブルーあたりでも手に入ればおすすめです。

また、早生品種だけで楽しみたいならレガシー&ニューハノーバー。
梅雨明け以降の品種で楽しみたいならオースチン&コロンバス&オンズローのような組み合わせも良いかと思います。

 

開花・収穫時期一覧(収穫日でソート)

開花
はじまり
開花
おわり
収穫
はじまり
収穫
おわり
ニューハノーバー 4/16 4/27 6/15 6/27
レガシー 4/10 4/27 6/24 7/4
チャンドラー 4/24 4/30 6/24 7/7
オースチン 4/28 5/5 7/7 7/20
ブライトウェル 4/24 5/2 7/9 7/25
コロンバス 4/29 5/13 7/16 8/13
オンズロー 4/28 5/11 7/17 8/18

こうしてみるとコロンバスいらなくね?って話になりそうですが、
・オンズローの受粉木になる
・収穫のピークが異なる(コロンバスが早め)
ということで残してます。

 

基準木のススメ

今回は基準木としてブライトウェルをおすすめしていますが、基準木とは一体何なのでしょうか?
簡単に言えば、品種評価の基準となる木の事です。

例えば新品種を栽培していて、
○月×日に開花。
○月×日に収穫。
と書かれていても、栽培している風土は地域によって千差万別で日時だけを見て簡単に比較できませんよね?
そこで、基準木を植えておけば相対的に評価したい品種の実力値が判断しやすくなるのです。

ですので、
当地での基準木(ブライトウェル)開花は○月×日。
収穫○月×日。
そして新品種は○月×日・・・
などと、書かれていれば自分の農園との比較がしやすいですよね。

別にブライトウェルでなくても構わないのですが、いわゆる基準品種(ブルークロップ・オニール・ティフブルー)は少し古い品種群なので、新たに土地を確保して栽培するには少しもったいない気がします。

そこで多くの方が植えていて、サンプルデータが豊富なブライトウェルを基準木としているわけです。
別にブライトウェルでなくてもかまいません。書籍やWebなどで栽培実績のある品種ならなんでも良いと思います。
こういった比較をしてみたい方は、ぜひ基準木を植えてみてください。

 

最後に

今回は栽培実績のある品種だけで構成しましたが、試験栽培している品種も評価が出来次第、記事をアップデートしていこうと思います。

それでは今日はこの辺で。

バイバイ!




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