こんにちは、せらすです。
せっかくブルーベリー苗を買ったのに、秋口に枯れてしまったり、翌年に花が咲かなかったりした事はありませんか?
ブルーベリーの寿命は一般的に20年前後と言われています。なのに、なぜこんな事が起きるのでしょうか?
今日はそんな方の為にブルーベリー栽培を翌年以降も楽しめるように「苗を買ったら、とにかくこれだけはして欲しい事!」をご紹介しようと思います。
なぜ枯れてしまうのか
店頭のブルーベリーの苗に、たくさんの花が咲いていたり、すぐにでも食べれそうな実がたくさん付いている苗を見たことはありませんか?たくさんの花や実に心を奪われ、衝動買いしてしまったことはありませんか?
しかし、ここに大きな落とし穴があるのです。
果樹はほとんどそうですが、収穫まで時間がかかります。ブルーベリーの場合、収穫までポット植え1年・露地植え2年と言われています。つまり店頭に並べてある苗の段階で、収穫するのは「早すぎる」のです。幼木に結実(実を成らせる事)し収穫する事は、ブルーベリーの樹に大きなダメージを負わせます。
苗木の「つぼみ・花・実」をどうするのか
私たちブルーベリー生産者は植えてから1~2年の間、つぼみ・花・実は全部とってしまいます。しかし苗の生産者さんはつぼみ・花・実を取り除く事はありません。不親切かな?とは思いますが・・・。結実させるも花芽を除去するも「栽培者の考え」に委ねられているのです。
ブルーベリーの苗の100%は「挿し木」で生産されています。そして厄介な事に、栽培1年目から「収穫できてしまう」のです。本来、タネから育ったブルーベリーが1年目から花芽を出して結実するなんて事はありえません。しかし「挿し木」で育った苗は、元となった「母木」の生育サイクルになっていますので、収穫できてしまうのです。
初心者が枯らしてしまうプロセスとしては
- 挿し木苗は1年目から結実、収穫できてしまう。
- 店頭で花芽や果実に魅せられて苗を購入。
- 花を咲かせて収穫してしまう。
- 樹のダメージが大きすぎて枯れてしまう。
と、いう事になります。
ポリポットのまま栽培しない
苗の生産者さんは栽培スペースや出荷時の梱包を考えて生産しています。つまり「最低限のサイズのポット」で栽培しています。言い換えれば「植え替え前提」で販売しています。しかし枯らしてしまう多くの方は「植え替えせずに買った時のポットのまま」という状況が多いように思います。
ブルーベリーに限らず、植え替えするときの基本は「翌年まで成長できる余地があるサイズのポットに植え替える」事です。もし買った時のままのポットで栽培すると、根が成長できずに翌年以降はどんどん萎縮(樹が成長できずに小さくなること)してしまうでしょう。
そして買ったときのポットの多くは「ポリポット」です。別名「ナーセリーポット」とも言いますが、これは運送や梱包するときに多少の融通が利くように、柔らかく変形させる事ができる簡易的なポットです。
簡単に変形できるという事は、本来は密着すべき土とポットの隙間が、簡単に空いてしまうという事です。土の側面が常に大気にさらされ、乾燥してしまうので、ただでさえ狭い根域を更に狭めることになります。
当然このようなポットでは健全なブルーベリーの栽培はできません。店頭で並んでいる苗は「植え替え前提」です。苗のラベルに「植え替え不要」等、書かれていない限りは必ず植え替えてください。
花や実は見本と思って
苗を購入したときに最低限しなければならない事は以下の2点です。
- つぼみ・花・実を全て取り除く
- 適切な用土で植え替える
つぼみ・花・実を取り除くなんて可愛そう!と思う方もおられるかもしれません。しかし、こんな小さい木に花や実が付いている方が不自然なのです。取り除いた方が将来的には樹にとって良いことであるのは説明したとおりです。
後は普通の花や野菜と同じように、日の当たる場所で水遣りなどを管理する。これだけで来年以降も栽培ができるはずです。樹が大きくなるまで収穫は控えてください。順調に育った場合、ポット栽培なら1年、露地植えなら2年ぐらいが目安です。
長く感じるかもしれませんが、むしろブルーベリーは収穫までの期間が短い果樹です。桃栗3年、柿8年と言われていますがブルーベリーはたったの1~2年です。楽しみながら育ててください。
栽培3年目までの栽培管理ポイントはこちらの記事にまとめています。
→脱ビギナー!ブルーベリー初心者は栽培3年目・10号鉢を目指せ!
それでも枯れる場合は?
以下の項目をチェックしてみてください。
- ピートモス主体の用土でポット植えしたか
- しっかり土壌改良して露地に植えたか
- 日当たりが悪くないか(最低1日4時間以上の日照)
- ちゃんと水やりなどの管理してしているか
- 水はけが悪くないか
これらの要素(土作り・日当たり・水遣り)は基本的な部分ですので花や野菜でも同じです。正直言いますと、これらの要素は小学生のアサガオ栽培と同レベルの事です。これが出来ないようならブルーベリーだけでなく他の作物の栽培も難しいです・・・。
他にも外因要素で弱ったり、枯れる場合もあります。以下の項目もチェックしてみてください。
- コガネムシや芋虫などの害虫が発生していないか
- 病気にかかり、枝や葉が黒ずんでいたりしていないか
- 肥料をあげすぎたり、前作の肥料成分が残量していないか
- 栽培地域の気候が品種に適合しているか
枯らさないように栽培するコツを別記事でも扱っていますのでよかったらご覧ください。
→【初心者向け】ブルーベリーを枯らさないために気をつけてほしいこと
収穫をするには
補足的な要素になりますが・・・。ほとんどのブルーベリーは自家受粉しません(一部の品種では自家受粉しますが、基本的には他家受粉の方が高品質な果実が収穫できるようです)。つまり樹が1本だけでは収穫は難しい、という事になります。ブルーベリーはもちろん果実が売りなわけですから収穫も楽しみたいですよね?
その為には「開花時期が合う同系統2品種」もしくは「自家受粉できる品種」を選ぶ必要があります。裏技的に「ご近所さんがブルーベリーを複数育てている」場合も結実が期待できると思います。
どの手段をとるにしても訪花昆虫は必須です。気になる方は、事前に訪花昆虫が飛来するか?訪花昆虫が営巣できそうな場所が付近にあるか?などを確認してみてください。
受粉についての詳しい記事はこちら
→ブルーベリーの収穫には必須!事前に受粉の事を考えておこう!
まとめ
ここまで書いた事をまとめてみますと、
①購入時についているつぼみ・花・実は落とす。
付いているつぼみ・花・実は見本だと思ってください。そのまま開花・結実すると木にダメージを与えます。
②ポリポットは植え替え前提。
ポリポットは運搬・販売の為の簡易な鉢です。必ず専用の用土とキチンとした鉢に植え替えてください。
③基本的な栽培要件を満たす。
用土・日当たり・水の管理・肥料・害虫・栽培地域の気候の把握
これらに加えて、収穫を目指すなら訪花昆虫の飛来を確認しておくと安心です。
最後に
いかがでしたか?
ブルーベリーはわりと丈夫な果樹です。「買った苗は、つぼみ・花・実を取り除いて植え替える」、そして「花や野菜と同じように適切に管理」する。これだけで継続的なブルーベリーの栽培ができると思います。
ブルーベリー苗だって安くはありません。せっかく買ってあげたブルーベリーの苗ですから、継続して栽培できるようにがんばってみてください。
それでは今日はこの辺で。
バイバイ!
※2018.4.24 加筆・修正
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