こんにちは、せらすです。
2017年度のサザンハイブッシュ品種の収穫は終了しました。
せらす果樹園に植えてある出荷用サザンハイブッシュは以下の通りです。
- スター
- サファイア
- サウスムーン
- ニューハノーバー
- レガシー
2017年度におけるこれらの品種を「営利栽培目線」で個人的な偏見と独断でレポートしていきたいと思います。
※収穫時期で並べました。尚、受粉木・試験栽培品種は除いています。これらの評価は事実に基づく個人の感想であり栽培地域や個人の味覚・感覚によって左右される事をご承知おきください。
受粉木にしちゃったりして、なかなか品種増えないの。
だから品種を増やすために色々試験栽培してるよ!
受粉木は開花期間と花芽の多さ、かな。
スター
サイズ :★★★
味 :★★★★
食感 :★
収量 :★★
輸送性 :★★★★
樹勢 :★★
総合評価:★★
2016年度の収穫は6/4~
2017年度の収穫は6/10~
シーズン最初は大玉で、糖度もそこそこ高く美味しいのですが 顎片が大きく、他品種に比べて食感がイマイチと思ってます
(皮感が大きい)。
果肉は程よく締まって、果柄痕も小さく輸送性に優れます。収穫時期後半になると小玉ばかりになる印象。
また、雨による裂果もそれなりに発生します。
樹勢は個人的には5点満点中2点。夏場の暑い時は樹勢がかなり低下する印象です。
極早生品種としては価値あるスターですが昨今、梅雨前収穫を謳う品種がたくさん出てきましたので以前より、その優位性は下がってきたと思っています。
せらす果樹園では機会があれば本数は減らしていく予定です。リストラ候補ですね。
サファイア
サイズ :★★★★
味 :★★★★
食感 :★★★★
収量 :★★★
輸送性 :★★★★★
樹勢 :★★★
総合評価:★★★★
2016年度の収穫は6/6~
2017年度の収穫は6/10~
大玉で糖度も高く美味しいです。 皮も種も目立たず食感も良好。
果肉は締まっており、果柄痕も小さく輸送性にも優れています。
雨による裂果も同時期に収穫できるスターに比べて少ない印象です。
樹勢は普通です。
極早生品種としてはスターよりこちらをおすすめしたいです。
(そもそもスターは手に入りにくいですが)
サファイアは収穫時期後半までLサイズがよく出ます。営利栽培においては安定して出荷できる優秀な品種です。
欠点は二つ。
枝が柔らかい事と剪定が面倒な事です。枝が柔らかいので結果枝はかならず垂れます。
地際の結果枝は必ず果実が地面に当たってしまうので注意が必要です。
また花芽の数もかなり発生するので、上記も踏まえると剪定上級者向けの品種かもしれません。
剪定は面倒ですが果実品質が良いので機会があれば本数を増やしてもいいかなとは思っています。
2017.8.23追記
読者様からご指摘いただいたのですがおススメ品種:サザンハイブッシュ編の記事で「これだけは選んだらダメ!」に当品種を挙げています。
上記記事を書いた時には「開花」や「受粉」を主に着目しているために低評価にしていました。
(例年では2月の開花や凍害の影響に悩まされています)
しかし2017は2月の暖気も3月の寒気も少なく、開花も揃い、受粉も問題なかったため、たくさん結実しました。
その結果、大玉で果実品質も良かったので高評価としています。
低音要求時間が短く、春先の気温に敏感なので地域による影響が多く、年によって当たり外れがありますが2017年度においては今回のような品種評価とさせて頂きます。
ニューハノーバー
サイズ :★★★
味 :★★★★
食感 :★★★★
収量 :★★★
輸送性 :★★★
樹勢 :★★★★★
総合評価:★★★
2016年度の収穫は6/8~
2017年度の収穫は6/15~
味は甘酸のバランスが良く、種も皮も気になりません。
非常に強い扁平果で、シーズン最初こそ20mmオーバーの大玉がたくさん採れますが後半は小玉が多く混ざります。
シーズン後半までLサイズを収穫しようとした場合は他品種とは違う剪定&花芽管理が必要になります。
果肉は柔らかめ。皮が薄くて破れやすいので収穫も気を使います。マメコガネの食害も結構発生します。
樹勢はハイブッシュにしてはかなり旺盛な品種です。2m以上ある防鳥ネットに枝が届きます。
その樹勢で露地植え2年目から収穫が見込めると思います。その分、剪定が少し面倒ですけどね。
※極稀に突然死する個体を確認しています。原因不明。
今年度のニューハノーバーは入梅と収穫が被りました。広島は降水量が少ないのでそこまで大きな問題にはなりませんが、降雨による裂果もそこそこ発生していますので地域によっては栽培が難しい品種かもしれません。
個人的に味が好きな事、大玉果が採れやすい事、お客様の評価も高いことから、せらす果樹園では他品種に比べて多めに栽培しています。しかし試験栽培している同時期に収穫できる品種の成績が非常に良いため、これ以上本数は増やさない予定です。
サウスムーン
サイズ :★★★
味 :★★★★
食感 :★★★★
収量 :★★
輸送性 :★★★★★
樹勢 :★★
総合評価:★★★
2016年度の収穫は6/12~
2017年度の収穫は6/16~
中~大玉果がよく採れます。甘みもよく種も皮も目立ちません。ただ、独特の風味(ハーブ感)があるので好みは分かれるようです。個人的には好きですがw
この品種も収穫時期が梅雨と被ります。大雨には遭ったことはありませんが裂果はあまり見ません。
比較的、裂果耐性は高いようです。
果肉は締まっており、果柄痕も小さく輸送性に優れます。
樹勢は弱いわけではないですが、随分とゆっくりおとなしめです。
暑さで枯れたとかはないですが毎年新梢が少なすぎて不安になる品種でもありますw
毎年ちょっとずつ成長していつの間にか大きくなってる品種です。その分、剪定や施肥が楽なので省エネ品種とも言えるでしょうか。
サウスムーンはシーズン後半は小玉が結構混ざる印象です。営利栽培を考える場合は、他品種も組み合わせた方が良いように思います。収量もそこまで多くない上に味も独特ですしね。
レガシー
サイズ :★★★
味 :★★★
食感 :★★★
収量 :★★★★
輸送性 :★★
樹勢 :★★★★
総合評価:★★★
2016年度の収穫は6/12~
2017年度の収穫は6/16~
中~大玉果がよく採れます。シーズン後半に連れて小玉が結構混ざっていきます。営利栽培の場合は剪定・花芽管理が大事になると思います。
味は・・・完熟は甘み系ですが、早採りしたものは酸味が強く甘酸バランスが良い状態での収穫はタイミングが難しいです。果実は柔らかめ。完熟になるとますます柔らかくなるため、輸送中や選果中に痛み果から果汁が漏れる事がよくあります。
果肉が柔らかい為かマメコガネの食害もよく見られます。加えて裂果耐性もあまり無いようで、大玉はよく裂果します。
収穫が梅雨時期に重なる上、マメコガネの食害も相まって安定した収量を得るにはそれなりに手間がかかります。
樹勢は旺盛です。ニューハノーバー同様に防鳥ネットに新梢が届きます。私はあまり夏季剪定は行わないのですが
さすがに防鳥ネットに枝が届いてしまうと翌年の花芽が高い所についてしまうので夏季剪定するようにしています。
いい品種なのですが
・シーズン後半は小粒になってしまう
・輸送性に劣る
・収穫のタイミングが難しい
・夏季剪定の手間がかかる
などから、せらす果樹園ではレガシーの本数を減らす方向です。摘み取り園などではいいのかもしれません。
最後に
いかがでしたか?
せらす果樹園で栽培しているサザンハイブッシュを営利栽培目線でレポートしてみました。
もちろん、皆様が栽培しておられる地域などでレポート内容は変わってくると思いますが参考になれば幸いです。
他にも、受粉木や試験栽培している品種もありますのでまた機会があればレポートしてみたいと思います。
果実に次のような評価をしているよ!
①収穫時期
②果実品質(味・サイズ・食感)
③選果・出荷に耐えれる果柄痕・果肉・果皮であること
④収穫期間を通してサイズの変化が少ないこと
⑤裂果や害虫に耐性があるか(必須ではない)
①エサを切らさない
②適度にかまってくれる
③干渉しすぎない
どれもダメだから今日からあなたは受粉木ね!
それでは今日はこの辺で。
バイバイ!